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自分のためだけの道具を、一年つくり続けてみた

去年の秋ごろから、自分のためだけの小さな道具をつくるようになりました。誰かに使ってもらうためではなく、ほんとうに自分が毎日ちょっと楽になるためだけのもの。気づけば一年で十個くらいになっていたので、つくったものと、つくりながら考えたことをまとめておきます。

きっかけは、同じ作業を三回やったこと

ある日、写真のファイル名を日付に揃える作業を、その週だけで三回やっていることに気づきました。一回あたり五分くらいなので、大したことはありません。でも三回目のとき、なんだか急にばかばかしくなって、その場で小さなスクリプトを書きました。

かかった時間は三十分くらい。元を取るには六回使えばいい計算です。結局その後の一年で百回以上使っているので、だいぶ得をしました。

同じことを三回やったら、道具にする。

それ以来、これを自分のルールにしています。二回目まではまだ我慢する。三回目が来たら、手を止めて道具にする。このくらいのゆるさが、ちょうど続けやすかったです。

つくったもの

一年でつくったもののうち、今もよく使っているものを挙げてみます。

  • 写真のファイル名を、撮影した日付に揃えるスクリプト
  • その日のメモを、決まった場所に日付つきで作るコマンド
  • コーヒー豆の残りの量と、買った日を記録するだけのページ
  • よく使う文章のひな形を、クリップボードに入れてくれる小さなアプリ
  • 散歩した道を地図に重ねて、まだ歩いていない道を探すページ

どれも、人に見せるようなものではありません。見た目もそっけないし、エラーが出たら自分で直せばいいので、エラー処理もかなり雑です。でも、それでいいと思っています。

雑につくっていい、という気楽さ

仕事でつくるものは、いろいろな人が、いろいろな環境で使います。だから、思いつくかぎりの場合を考えて、ていねいにつくる必要があります。

自分専用の道具は、その逆です。使うのは自分だけで、使う場所も自分のパソコンだけ。想定する利用者がひとりしかいないというのは、思っていた以上に気楽でした。

たとえば、日付つきのメモを作るコマンドは、最初はこれだけでした。

#!/bin/sh
file="$HOME/notes/$(date +%Y-%m-%d).md"
touch "$file"
open "$file"

四行です。すでにファイルがあっても気にしないし、フォルダがなければ普通に失敗します。それでも毎朝使えているので、半年くらいはこのままでした。

あとから足したのは、ファイルの先頭に日付の見出しを入れる処理くらいです。足したくなったときに足せばいい。最初から完璧にしようとしないのが、続けるこつだったと思います。

使わなくなったものもある

もちろん、つくったけれど使わなくなったものもあります。

  • 毎日の歩数をグラフにするページ(一週間で見なくなった)
  • 読んだ本を記録するアプリ(結局、紙のノートに戻った)
  • 天気によって、その日のおすすめの散歩コースを出すもの(そもそも天気が悪い日は歩かない)

最初は、使わなくなったことに少しがっかりしていました。せっかくつくったのに、もったいない、と。

でも、今は気にしていません。つくってみたからこそ、それが自分には要らないとわかった。それがわかっただけでも、つくった意味はあったと思っています。

道具をつくると、自分のくせが見えてくる

一年続けてみて、いちばん面白かったのはここでした。

道具をつくるには、まず自分が何をしているのかを、ちゃんと見る必要があります。毎朝なにをしているか。どの作業でいつも手が止まるか。どこでいらいらしているか。

それを見ているうちに、自分のくせのようなものがわかってきました。たとえば、自分は「決める」作業がとても苦手で、ファイル名やフォルダの場所を毎回迷っていました。道具の多くは、結局その「決める」を肩代わりしてくれるものだったんです。

道具は、自分が苦手なことの地図になる。

ちょっと大げさですが、そんなふうに感じています。

人に見せないことの良さ

この一年、つくったものはほとんど誰にも見せていません。GitHub にも置いていないし、SNS にも書いていません。

人に見せようとすると、どうしても見た目を整えたくなります。説明を書いたり、ほかの人の環境でも動くようにしたり。それはそれで楽しいのですが、そうしているうちに、つくること自体が重たくなってしまう。

見せないと決めてしまえば、思いついたその日に、十五分でつくって終わりにできます。この身軽さは、なかなか手放せません。

もちろん、ここにこうして書いているので、少しは見せているのですが。中身は見せず、つくった話だけをする、くらいの距離感がちょうどいいのかもしれません。

これから

これからも、同じ作業を三回やったら道具にする、というルールは続けるつもりです。

最近は、散歩の途中で見つけたお店をメモしておく道具がほしくなっています。地図アプリのお気に入りでもいいのですが、あれだと「なんとなく気になった」くらいのお店を入れるには、少し大げさな気がしていて。

もうすぐ三回目が来そうなので、来たらつくろうと思います。できたら、またここに書きます。